2022年4月(または2014年2月)に始まったロシアのウクライナ侵攻だが、当初プーチン大統領が想定していた以上に随分と泥沼化し長引いているようだ。
現在のロシアは冷戦期の旧ソ連のような最高潮の軍事力や技術力はもはや無く。ソヴィエト連邦崩壊に伴い旧ソ連地域の領土の多くを失ってしまい、弱体化の一途を辿っているのだが、それでもアメリカの軍事力評価機関「グローバル・ファイヤーパワー」のランキングでは現在でも全145カ国中世界2位の座に君臨している超軍事大国だ。
グローバル・ファイヤーパワーが発表した「2023年世界軍事力ランキング」
そこでこの記事の読者は疑問に思うだろう。上記の「グローバル・ファイヤーパワー」のランキングではウクライナ軍は15位にとどまっている。145カ国中15位というのはもちろん上位10%に入る実力で、且つ欧米諸国(NATO)からの支援もある為、全くもって「激弱」ではないのだが、軍事費ベースで考えてもウクライナ軍の軍事費は2020年時点(敢えて平時の軍事費で算出)でおよそ46億ユーロ(7,520億円)それに対しロシア軍は2020年時点で617億ドル(9兆2910億円)と10分の1にも満たない軍事費しか運用されていない。そんな中ここまでロシア軍の侵攻をくいとめていられるのは、上記の各国の支援のほか、いくつかの要因があると考えられます。
まず、皆様もご存じの通り、今回の紛争においてウクライナ軍は西側諸国からの武器や装備の供給を受けて、戦力を増強してきました。 例えば、高機動ロケット砲システム「ハイマース」や地対艦ミサイル「ネプチューン」などは、ロシア軍の防衛拠点や艦艇に対して有効な攻撃手段となっています。
次に、ウクライナ軍は、NATO(北大西洋条約機構)標準化(例えば欧米と同じ銃と銃弾を使うなど)とコンパクトで機動性に富んだ部隊作りを目指して、長年慣れ親しんだソ連型軍隊から、より西側の戦術を取り入れるべくNATO(欧米)型軍隊(各種装備含め)への転換を図ってきました。 これにより、ウクライナ軍は、ロシア軍の大規模な部隊に対して、非対称戦(各種兵器レベルでいえば数量を除けばほぼ互角)を展開することができるようになりました。 ウクライナ軍は、先進技術等を活用した長距離からの精密誘導攻撃や、ドローン偵察などを駆使して、ロシア軍の動きを妨害しています¹²。
しかしながら、このような物資のみの支援において、戦況を動かしているというよりも、そこにはウクライナの地域が歴史上幾度となく侵略を受け、また、大戦争の通り道として西と東と蹂躙されてきた歴史的背景もウクライナ国民たちを奮い立たせる原動力になっているのでは無いのでしょうか。
ウクライナは、古くはモンゴル帝国、そして2つの世界大戦、極めつけにソ連統治時代と長きに渡る侵略や厳しい統治を乗り越えようやく独立したものの、独立したのも束の間、ロシアのここ数百年の悪い癖である不凍港を巡る「かつあげ」にあい、クリミアの侵略を実質的に許してしまうこととなり、それ以降ロシアとの更なる軍事衝突を視野に入れ軍備増強を行ってきました。だからこそ今度こそは自国の領土と主権を守るという強い意志とモチベーションを持って戦っています。 ウクライナ軍は、ロシア軍の完全追放と「すべての領土の解放」が主な目標だと述べており、ロシアから奪い返した地域の維持に必要な資金と装備を求めています。 ウクライナ軍は、自由で、自己決定できる国としての完全な独立主権国家であるウクライナの存在を確保するために、ロシアの侵略に対して勇敢に立ち向かっています。
以上のように、ウクライナ軍の強さは、西側諸国からの支援、軍の改革、国家の意志という3つの要素によって支えられていると言えるでしょう。 ウクライナ軍は、ロシア軍に対して善戦敢闘しており、ロシアの野心を阻止する役割を果たしています。
また、ここから先は筆者の独り言だが、一度始まってしまったこの紛争は、いかなる犠牲を伴おうともルハンシク,ドネツク,マリウポリなど今回の特別軍事作戦において奪取された地域のみならず、2014年以降に不当に侵略されたクリミア半島までを奪還すべきであると考えます。
理由はもちろん『武力による現状変更を許す事例を一つでも作ってはならないから』に尽きます。適当な場所で停戦したところで、その地域はその軍の国家が統治することが歴史上明確になっている現状、日本においても尖閣諸島や竹島,沖縄,北海道や北方領土を守るためにも、世界が一丸となり、武力による現状変更に異を唱えていくべきだと思います。
2023/11/17
(1) ロシア軍の苦戦が映す先進技術「実装」の重い威力 AIが将来の …. https://toyokeizai.net/articles/-/638519.
(2) 弱小ウクライナ軍に勝てないロシア軍は必然だった まもなく …. https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69759.
(3) 【解説】 ウクライナの攻勢、なぜ西側兵器でもつまづいている …. https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-66321620.
(4) 【解説】 ウクライナでの戦争、どっちが勝っているのか – BBC …. https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-62937414.
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